セレモニー
太平洋に面した土地で
ひさかたぶりの
雪が降り
かがやきのなか
ひとりのひとが
死んだ
ひっそりと
見送られるはずが
家に連れて帰る
みちのりで
とんだセレモニーが
はじまってしまった
めったに積もらない雪が
ふくらはぎまで届き
はしゃいでいる
雪かきをするひと
雪だるまをつくるひと
雪玉を投げ合っているひと
そのあいだを
白い布に
くるまれた
死が
運ばれて
ゆき
ぎょっとしたような
ひとびとの
顔
の横を
家族はしずかに
歩いていった
太平洋があまりに
まばゆくて
この
あかるさから
遠ざけるように と
葬儀屋は告げた
けれど
ずっと
あかるいまま 死は
炎によって
きれいな幾許かの
骨になったのだった